WatchOS 2のまとめをしてみましたが、次にiOS9について書いてみたいと思います。こちらも、Apple公式ドキュメント(iOS9 API Diff、iOS 9 Release Notes)を見て、調べてみました。
広告関連新技術は、少なめ
広告用ID等、Appleが広告用に提供するIDや特別なAPIは見当たりませんでした。ただし、更に詳しく調査すれば、役に立つ識別子等はあるかもしれません。一方で影響がある新機能もいくつかあります。
1つ目は、Safari Services Frameworkです。後述しますが、広告の成果測定の方式に変化があるかも、しれないです。
2つ目に、SafariでContent Blocking Safari Extensionsという機能が実装されました。こちらも後述しますが、コンテンツをブロックする機能をデベロッパーが提供できるようになりました。コンテンツには広告も含まれるので、広告サービスも影響を受ける可能性が高いです。
Apple Music

定額制音楽配信サービスで、料金は「$9.99/月」(3ヶ月は無料で利用可能)。6月30日から100カ国以上で展開予定のようです。日本でサービス開始とは明言されてないですが、公式サイトは日本語対応しています。
Apple Musicは、Windows、Android版も発表されるようです。どれも、ユーザーの好きな音楽を見つける事にフォーカスした機能設計という印象です。
機能としては、ユーザーに自動最適化してキュレーションしてくれます。更に「Global Radio」という、ラジオ視聴可で、Beats 1という音楽を紹介する、DJサービスも含まれます。また、リスナーとアーティストを結ぶ「Connect」というサービスも付きます。詳細は不明だが、著名アーティストのソーシャルアクティビティを表示します。
Safari アプリ
Contents Blocker
Extension Pointsとして、SafariのContents Blockerが加わった模様です。恐らくですが、開発者は広告ブロック用アプリケーションを配布して、Safariのブラウジング時に広告ブロックをさせるサービスを提供可能になります。
Safari Service Framework
ざっくりいうと、アプリ内でSafariを開くことが可能になります。特徴としては、SafariとCookieが共通であること。広告サービスではかなり使える機能かもしれません(未検証)
News アプリが新登場

米英豪でサービス開始予定。Newsstandアプリが消滅し、代替としてNewsアプリが登場します。各Webメディアの記事をユーザーの好みにあわせてキュレーションして配信するサービスのようです。デモを見る限り、Flipboardのようなビジュアルです。
Wallet アプリが新登場

PassbookはApple Payと統合され「Wallet」という名称になるようです。クレジットカード以外にもポイントカードを追加できるようになります。
Siri – プロアクティブ・アシスタント
上手く聞き取ってくれない、と言われていたSiriですが、正確性と応答速度が40%向上したそうです。

新コンセプト、プロアクティブ・アシスタントが発表されました。
能動的にユーザーに働きかけるアシスタント、というSiriの新しい位置づけを表した機能。コンテクスト(場所、時間など)を読み取って学習し、ユーザーに次の操作を提示します。例えば、知らない電話番号からの着信があった場合、受信メールなどの情報をもとに相手を推測するなどが可能なようです。
Map アプリが改善

乗り換え案内機能を追加し、MapKitでも「3D Flyoverモード」という、主要都市を3D表示する表示方法に対応し、開発者が3Dマップを利用したアプリがより簡単に実装できるようになったはずです。
Note アプリが大幅改修

ノートアプリが改善されました。チェックリストや手書きメモを追加。テキストに加えて、手書きの図やチェックリスト、インライン画像に対応。同時に編集UIを一新されたそうです。
App Extensionが4つ追加
App ExtensionのExtension Pointsが追加されました。Extensionは、アプリの機能を他のアプリからも使えるための機構ですが、予め定められた利用方式に限られてます。これを「Extension Points」と呼んでいて、例えばウィジェット(通知センターの「今日」という場所)は「Today」というExtension Pointです。
iOS 9では、4つの Extension Points が追加されました。
- Network extension points
- Safari extension points
- Spotlight extension points
- The Audio Unit extension point
各Extension Pointsについては、まだ公式ドキュメントに反映されていないのと、あまりよい印象がなかったので未調査です。SafariはおそらくContents Blockerです。
アプリ内コンテンツが検索対象に
iOS9において、マーケッターにとってはApp Searchがイチバン重要な機能かもしれません。ざっくりいうと、アプリ内コンテンツに対する検索性が向上しました。
SafariとSpotlight
Googleが先日同様の機能を発表しましたが、Safariの検索結果でもアプリ内コンテンツが表示されるようになります。さらに、Spotlightの検索結果からもアプリ内のコンテンツが検索できるようになります。デベロッパーが対応している前提ですが、Spotlightの検索結果にアプリ内コンテンツが表示され、結果を選択するとアプリのコンテンツに飛ぶことが可能になります。
SpotlightとSafariでアプリ内コンテンツを検索結果に表示させることが可能になるわけですが、やはりSafariからの流入インパクトが大きそうです。iOS9だと、この機能がかなりいい感じに使えると思います。コンテンツ記事を抱えるサービスであれば、アプリ内コンテンツへのアクセス頻度を上げる手段になると思います。
また、キーワードに対してコンテンツを特定のフォーマットにそって、開発者がインデックスさせる仕組みです。なので、やろうと思えばあらゆるキーワードに対してインデックスさせまくることも可能なはず、です。ですが、Appleも注意喚起しているようにやりすぎるとリジェクトされる可能性はある思います。
Universal Links
アプリ内で(カスタムスキームではない)URLを開く際、Safariを開くこと無く、直接アプリ内のコンテンツを開くよう設定することが可能です。
HealthKit、リプロダクティブ・ヘルス対応へ
HealthKitは大幅に改修されたようです。HealthKitは、体重や歩数などをモニタリングして健康状態の管理を促進するサービスで、公式のヘルスケアアプリはユーザーが健康に関して記録を取っているデータを一括してモニタリングできるアプリです。
特に、リプロダクティブヘルス (性と生殖に関する健康)に関して、大幅な機能拡張がありました。以下のデータをトラッキング可能になったようです。パッと見た感じ、良く分かんないのですが、より女性の生理など生殖に関する管理が容易になるという理解で合ってる気がしています。
- Basal Body Temperature
- Cervical Mucus Quality
- Menstruation
- Ovulation Test Result
- Sexual Activity
- Spotting
HomeKit、リモート操作可能に
iCloud連携強化し、iCloudを通じて外出先からスマート家電を操作可能になるようです。どの程度の操作が可能で、どのようなインターフェースが実現可能かは調査が必要です。
CarPlayの接続範囲と型式が拡張

異なるディスプレイサイズをサポート、ワイヤレス対応(これまでのUSB接続から、おそらくBluetoothに対応)。さらにCarPlayは各種車メーカーのアプリに対応、車の空調システムやステレオコントロールまで可能したようです。ですが、ハード(クルマ)が対応しないと意味が無いので、実際にマス層が利用するのは当分先になるという印象です。
App Thinningでアプリサイズが縮小へ
AppStoreからアプリをDLするときのサイズを減らすためのサービス機構。アプリのダウンサイジングがより容易になる。
スライシング
各端末でインストール時に必要なアセットのみを対象とし、インストールさせることが可能。例えば、iPhone6Plusのユーザーは、iPhone5用のアセット(~@2x)のダウンロードは不要で、iPhone6Plus用のアセット(~@3x)のみをDLすれば良い状態を作ることができる。
オンデマンドリソース(On-Demand Resources)
アプリ内で必要なアセットを、Appleサーバにホスティングすることが可能。これによって、インストールまでのアプリサイズを減らすことができる。
Bitcode
中間形式でアーカイブした状態で、アプリをサブミットする事が可能になる。AppStoreで配布する際にユーザー端末に最適化した状態で配布することになり、余分なデータサイズが削減される。
App Transport Security(ATS)
アプリの通信をセキュアに管理する機構。HTTPなど、平文で通信を行う場合自動的にブロックされる。本来HTTPS通信であるにも関わらず、アプリ内で誤ってHTTP通信を行なってしまうケースを防ぐための機構と思われます。What’s New in iOS9ではHTTPSへの対応を訴えている。Info.plistでATSの回避可能なはずです。
ゲーム関連の強化
詳しくない分野なので、、、ざっくり書きます。
GameplayKit
ゲーム開発に役に立つ、乱数生成ツールなどが標準で提供されるようです。どのようなインターフェースで、どんなバリエーションがあるのかは、調査してないです。
Model I/O
3Dモデルアセットのインポートにエクスポートや、モデルアセットの処理、他のフレームワークとの連携が強化されたようです。
MetalKit
パフォーマンスが向上したみたいです。あまり詳しいことは調査してないです。
ReplayKit
ゲームのプレイ画面を録画可能で、API Diffを見る限り、「レコード」と「閲覧」ができる機能が提供される気がしています。レコードした結果、動画データを開発者が取得できるかは不明です。
もし可能であれば、Kamcord、Lobiなどが実現している「プレイ動画共有サービス」がより簡単に実現できる可能性があります。
その他
CoreImageで文字認識が可能(?)
画像認識周りが強化されたようで、「文字認識」が追加されたようです。(推測)※参照:CoreImage Changes
- CITextFeature
- CIDetectorTypeText
「デバイス温度情報」の追加
(技術的になりますが)NSProcessInfoクラスに追加される、termalStateプロパティ(NSProcessInfoThermalState)でデバイスの温度状態がわかるようになります。需要があるか分かんないのですが、こういった情報を持ってアプリを作ることが可能になります。
所感
正直、iOS8、iOS7、それ以前と比べてみて、すげー!と思う点が少なかったです。同時にKeyboard Extensionのような、マスに刺さるサービスが作れるような機能追加は無かったような印象です。
個人的にはApp Search、Safari Extension Pointsは抑えておくべき点だと感じました。同時に開発者目線で言えば、よりAuto LayoutをベースにしたUI開発が重要になり、来年くらいからはApp Thinningをベースにした開発が主流になる予感も感じています。
App Searchは、やり方をミスったらリジェクトする可能性はありますが、コンテンツ系サービスを運営しているなら導入必須だと思ってます。ガンガンコンテンツをインデックスさせてしまって、検索結果に上手く表示できるようになれば、かなりアプリのエンゲージメントが高められる手段になるんじゃないでしょうか。ココらへんは、iOS9での実装次第だと思うので、Beta版を楽しみに待ちたいと思います。
あとは、IoT関連の改善。CarPlayは面白そうですが、ハード側(車メーカー)が対応する必要があって、少し普及には時間がかかりそうですね。HomeKitでもリモート操作が可能になったことで、どこまでiPhoneがIoTの中で存在感を出してくるかは注目したいところです。


